柊むーすの台本置き場

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2022年07月

今回は素敵な台本をお借りしました。

音声内に煙草の押し付けや
体を殴るなど暴力的シーンが含まれます。

今までとは違う方向の音声を録りたい!と思い
チャレンジしました!
精いっぱい「怖い女性」を演じたのですが
想像以上に声が高くびっくりしてます。

聴いてて恥ずかしくなるくらい
無理してる感( ̄▽ ̄;)アハハ……
でも楽しかったです!

ちなみに、煙草を押し付けるシーンの「ジュ」って音は
マッチで再現してみました。
それっぽくなったかな?

youtubeにて全部視聴できます♪
お楽しみ下さい(*^▽^*)

ボイス:柊むーす
Twitter:@mu_hiragi15

以下の素敵な作品をお借りしました。
☆;+;。・゚・。;+;☆☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆☆;+;
【フリー台本】
「ドS彼女の灰皿にされる」さか嶋 様

【フリーイラスト】
イトノコ 様

【画像素材】
ウズ 様

【効果音】
 SoundBound 様
☆;+;。・゚・。;+;☆☆;+;。・゚・。;+;☆;+;。・゚・。;+;☆☆;+;

‎2022‎年‎1‎月‎13‎日の夢が元ネタです。

※恋愛色薄め・残忍な表現は大幅にカットしています

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-------以下台本-------

街の至る所で、私服の大人や子供そして
防護服や迷彩柄のアーマーを着て銃を小脇に抱えている
人たちが周囲への目を光らせていた。
数年前に比べると、あらゆる建物はぎりぎり住めるくらいに
朽ち果て、地面は天からの助けを乞うように、干からびてしまった。
土は乾いているというのに、泥の中を歩いているかのように
足元にまとう空気が重たい。

遠くからサイレンが鳴り響き、誰かを探しているのだと我に返る。
僕は人目をかいくぐり、それらから出来る限り遠ざかっていく。

そうだ、僕は彼女に救助してもらわなければならない。
頭の中が靄(もや)に覆われつくされそうになる度に
その【目的】を強く思い出さねばならなかった。
彼女は半壊したデパートの屋上に来るように指示ていたはず、だ。

外から眺めるだけではそれがデパートだとは思えない姿になっていたが
僕は何故かその建物を知っている。
昔ここに住んでいたことがあるからだろう。
この田舎街で、大きなショッピングモールはここ以外にない。

まるで大きな刃物で切り取られたかのように至る箇所が切り取られ
破壊されているが、気を付けて登れば足場は崩れないだろう。
どうにか最上階目前まで辿りつき、見渡した先の柱の後ろに
丸腰の子供たちが3人、見張りの兵が1人いた。

その人たちは全員【人】ではない、気がする。
これは勘だ。まるで全身の血が抜かれ皮膚は冷ややかで
澆薄(ぎょうはく)に見えるのだ。

「あの子供たちは義手や義足なのか、動きがぎこちないな」

妙な事に、その子たちに見つかってはいけない、という事を理解していた。
屋上から垂れた看板に身を潜めながら、階段を一歩一歩進んでいき
ようやく空が見えるところまで潜入した。
背筋を伸ばして立つには難しいほどに床は傾き
周囲に残る手すりに掴まりながら、
雲の合間をすがるように見上げる。

まもなくヘリコプターの音が徐々に近づいてくると
目を細めずとも、窓から手を振る彼女が見えた。
3mほどの距離まで縮むと、機体から巻き起こる風で
屋上の塵や壊れた部分すらも吹き飛んでいく。

「そこからジャンプして、この鎖につかまって!」と彼女が叫ぶ。

僕は風の中でも呼吸が苦しくなることもなく
いとも簡単に開かれた扉から、垂れる鎖へとぶら下がった。
よじ登る途中で、彼女が地面まで視線を下げ、何か叫んでいる事に気づく。
しかし、その時既に僕の左腕はもぎ取られていた。

状況を把握すべく周囲を見渡すと
先ほど見かけた兵士が屋上で、銃を構えこちらを狙い続けているではないか。

彼女に右腕を引っ張られながら、ヘリコプター内に入り
怪我の具合を確認するも、失われた左腕は痛みどころか血流すらもない。
その銀色の切断面からは何本もの配線がちぎれ、パチパチと火花が散っていた。

異常な光景を前に、徐々に靄(もや)が広がっていく。

──「僕は人間じゃない。
いや、正確には数年前まで人間だったはずだ。
その間、体を動かす燃料は、生物の血肉や石油のみとなり
狩りをして生きながらえるしかなくなったんだ。

ああ、だから僕は生物を食い散らかして追われているのか。
もしそれが事実なら、この先はどうなる?
でも、今はそんな難しい事はどうでもいい、腹が減った。
ちょうどいい、目の前に一体いるじゃないか」


──彼女の細い腕を掴み噛みついた瞬間、咥内にバキンと金属音が響く。

「これで2度目ね。前も貴方に食べられたのよ。
でも気にしないで貴方は被害者なんだから」

その言葉を理解できず、差し伸べられた手を払いのけ
彼女の猫っ気でふわふわの髪、緩急のある頬
意外にも逞しい肩、しなやかな腰を探って確かめる。
確かに触れた部分は温かく、右腕だけは氷のように冷たかった。

「思い出したくないでしょうけれど、貴方は政府に掴まって実験台として改造されたの。
きっと健康診断で通っていた病院の情報も全部……国に利用されていたんでしょう。
残念な事に貴方が、一番適していたのよ」
そういった彼女は表情を変えずに肩をすくめ、椅子へと腰を下ろす。

この状況を全てを呑み込んでいる様子に
「何故僕を助けるんだ」と疑問を投げかけていた。

「どんな状況でも、嫌いになれないから。
私は至らない自衛隊員だけど、望みがあるなら貴方を助けるまでよ。
ここの運転だってあなたを慕っている後輩に任せているわ。
……少なくともあなたを好きな人はここに揃っているのよ」

操縦席の後ろ姿は、見覚えのある男のような気がした。
過去の事は深く思い出せないが、この機内の全員が軍隊の端くれだったんだろう。

険しい表情で外を眺める彼女の横顔に、ふと愛おしさを抱く。
同時に再び殺したいという感情が込み上げ、胸の中を焼き焦がしていく。
一瞬頭によぎった思考は
彼女の「ここに座ったら?」という一言でどうにか払拭された。
腰を下ろし、窓の外を眺めると
人間ではありえない動きをして跳び上がる者や
こちらの動向に気づいたであろう者が銃口を向けたり
信じられない速度で走っている者がいた。

その瞬間、僅かに情勢がよみがえってくる。
──世界には沢山のロボットの作り手が存在しており
皆、それぞれの【オリジナル】を作るため
生きている人間のみならず、死者を蘇生させるのだ。
法律を取り締まる政府が崩れた今、あらゆる争いが激化している。
陣地や人種のはく奪、金の取り合い、
また命が伸びたことにより、欲望を抑える必要がなくなり
次第に暴力で欲するものを入手するようになった。
それもこれもたった数年の話だ──

「追っては全て巻きました!もうすぐ、基地に到着します!」
運転席の彼が叫ぶと、すぐさま機体が降下し地面へと降り立つ。

焼き野原の中にマンホールほどの大きさの土の盛り上がりが見えた。
きっとあれが基地の入り口なんだろう。
今日だけは深く考える事は止めて、少しだけ休もう。


─それから数日後、彼女と後輩が近隣を見回りに不在になった時のことだ。 
天から光が差し込み、もう帰って来たのかと声をかけようとしたその時。
僕の額に真っすぐと銃口を向けた防護服の人らが
数名侵入してきて、あっけなく
政府の手で獄中へと隔離された。

畳一畳ほどの塀の中で、窓のない寂しい生活を送ることになった。
僕を戦争ロボットにするはずの改造が失敗に終わったのは
政府が犯した罪といっても過言ではない。
日に1度の給油があるのみで、看守との会話は禁じられていた為
過去を振り返る時間だけが積み重なっていく。
そしてまた彼女の事を思い出すたび、寂しさがこみ上げてくるのだ。

そうして何時間、何日経ったのか数える事すらをやめた頃。

「おい、お前に差し入がきている、中は私が点検済みだ。
お前も苦労してきているだろう、この件は内密にしてやる」

「どうも」と開いた扉から白い箱を受け取ると、ふんわりと甘い香りがした。
看守に背を向け箱の中身を開くと、一枚の紙と容器に入れられた
「バニラアイスクリーム」が目に入る。

これは、僕の一番大好きな甘い物だった。
──そういえば昔彼女と付き合っていた頃に、よく食べたような気がする。

「私はイチゴ味が一番好きなんだけど
段々バニラも好きになってきちゃった。
好きな人の好物って似てくるものなのかな?」

ふと脳内に彼女の声が流れる。
そういえば、何回目かのデートの時にそんなことを言い、はにかんでいた。
僕は、その姿がたまらなく愛おしいと思ったのだった。

「この手紙の文字、彼女らしいな。
綺麗とは言えないけど、丸くて優しくて可愛い癖の字だ。なんて懐かしいんだろう」

手紙の日付を見て驚いた。既に1年もの歳月が流れていたのだ。
そこには世界は変わらず冷たい雨が降っている知らせ、僕の無事の祈り
そして彼女からの愛の言葉で締めくくられていた。

「彼女は生きている」

その事実だけで時の概念が戻ってきたようだ。
政府が用意した居場所を突き止め、敷地へ入ったという事は
彼女は少なくとも捉えられていないのであろう。

添えられていた木べらを使い、懐かしい塊を咥内へと運ぶ。
味覚を感じるはずのない金属の咥内に
いつかの懐かしい味が香り広がっていく。

すぐに彼女に返事を書こう。
渡せるときがときたときの為に残さず文字にしよう。
謝罪と感謝、そして一番伝えたい気持ちをつづるんだ。


-------上記台本-------

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